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ポストモダン・マーケティング―「顧客志向」は捨ててしまえ! |スティーブン ブラウン

ポストモダン・マーケティング―「顧客志向」は捨ててしまえ!ポストモダン・マーケティング―「顧客志向」は捨ててしまえ!
スティーブン ブラウン
ダイヤモンド社 刊
発売日 2005-01
価格:¥2,520(税込)
オススメ度:★★★★




ポストモダン・マーケティングは、単なる消費者志向への批判だけではない 2006-09-10
本書は、消費者ニーズを絶対視し、それに適応してゆくのが

マーケティングの役割だとする従来の「消費者志向」の考え方に異を唱え、

実際には消費者志向とは思えないやり方で成功している事例も数多くあることを指摘している点で、

マーケティングの学術研究・実務双方にとって示唆のある著書だと思います。



ただ、本書がなぜ「ポストモダン」という語をタイトルに用いたのか、

その真意については、ポストモダンという思想潮流に関して事前に理解がある読者でない限り、

本書の内容からだけでは把握し難いのではないかと思われます

(「訳者まえがき」にて、その点についての若干の補足はありますが)。



ポストモダン・マーケティングのそうした概念的な側面については、

むしろ日本においてより洗練された議論が行われているように思えます。

たとえば私の知るこの分野の日本の著作としては、

石井淳蔵氏の「マーケティングの神話」「ブランド−価値の創造−」、

石井淳蔵・石原武政両氏編著「マーケティングダイナミズム」

「マーケティングインタフェイス」「マーケティングダイアログ」の論集三部作、

栗木契氏の「リフレクティブ・フロー」、

そして石井・石原両氏の一連の議論に強く感銘を受けたという豊島襄氏の「解釈主義的ブランド論」などがあります。

ポストモダンという思想潮流そのものに対する深い理解は別として、

とりあえずは上記のような著作に当たることで、ポストモダン・マーケティングとはそもそもどういったものなのか、

従来のマーケティング論とは具体的にどう異なる立場を取っているのかについて、

より正確な理解が得られるでしょう。



ブラウン教授による本書も、日本のポストモダン・マーケティングも、

従来の「消費者志向」型マーケティングの考え方を批判している点では共通しています。

ただし本書は、そうした従来型マーケティングへの批判の根拠として、

ただ消費者志向とは思えないようなやり方での成功例も実際には数多くあるということを

事例とともに示しているにとどまっている点で

「ポストモダン・マーケティングとは、単に消費者志向マーケティングを批判するだけのものである」

との誤解を読者に与えてしまうおそれがあります。



日本ではまだあまり広く理解されていない、

ポストモダン・マーケティングという新たな潮流についての正確な理解を広めるためにも、

もっと理論的な側面の説明もある方が良かったかな・・・・と思いました。


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この記事は2007/4/19に作成しました。


2007年04月19日 11:29